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2週間前から飼い始めたミドリガメを
「かわいー!」とつぶやきながらながめるムスメの姿を見ていて、
わたしは10年前のあの日のことを思い出していた。

身重だった家内が体調を崩し、
緊急入院した病院から夜中、
赤ちゃんが生まれそうとの連絡が入った。

とるものもとらず、すぐさま駆けつけると、
嫁は一人、ベッドにいた。

ねぎらいの言葉をかけたミーに、
家内はやさしい笑顔をくれると、
寂しそうな面持ちで「別のお部屋にいるの…」と言った。

ムスメがいるという部屋の壁は一面ガラスばりになっていて、
小さめの赤ん坊が
これまたガラスばりの保育器に寝かされていた。

ふた月も早く生まれてきた娘の体質には
たくさんのクダがついていた。

ミーは、みじろぎもしない娘に話しかけると、
思いが通じたのか、小さな小さな足をゆっくり動かし出した。
それは、まるで僕に何かを伝えようとしてくれているようだった。

おいらはその時、ムスメに約束をした。

「君には苦しい思いをさせてしまったね。
この世にやって来るのが少し早すぎた分、
誰よりも楽しいと思ってもらえるようにがんばるからね。」

二重のガラス越しに伝えた一方通行の約束…

女の子は今年で小学五年生。
日々、元気に学校へ行き、
将来はアイドルになることを夢見ていて、
今ではボクの一番の話し相手になってくれている。

むすめは、
ガラス越しに伝えたあの約束のことを知らない…
ボクも照れくさくて、今さらクチにできないでいる。

でも、むすめのたくさんの笑顔を見るたびに、
あの約束は一方通行ではなかったのでは…と思う。

ムスメのおかげで、
ささやかでも幸せを積み重ねていく素晴らしさに
出逢えた気がする。

女の子よ
「生まれてきてくれてありがとう!」

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